今何時くらいだろうか。午前5時くらいだろう。
カ−テンの間から差し込まれているうすい群青色の光を見て沖田は思った。
自分の隣で寝ている野郎の背中を見ては、ああ、またやっちまった。と後悔する。
隣にいる男は知らない男だった。高校生らしいがまったく知らない奴だ。
そもそも俺、こいつとヤったのか?
そんな事を思ってしまうほどだ。
まあ、自分と男が同じベットで寝ているのだからヤった後だと理解できるが。
自分はちゃんと服をきていたし、ベットの周りとかはちゃんと片付いていた。
「(まめな人だなぁ)」
俺はどちらかというとおおざっぱな方なのでつくづく思う。
「沖田さんって綺麗な顔してますよね」
「なんでぃ急に」
「いや、ほらなんか子供みたいな顔だなって」
「…」
「なんか、子供の顔ってなんにも知らない感じで綺麗じゃないですか」
そう言った山崎の顔を今でも覚えている。
そう言ってくれたのは何年前だっけ。
そう言われて俺はうれしいわけではなかった。
どちらかというと悲しかったし、失望した。
ああ、山崎に俺はそう見えるのか、と。
それからというもの俺は行為を終えた後、いつも、ごめんなさい。
と腹の中で思う。
ヤればヤるほど俺は謝り、自分をこんな風にした山崎を呪った。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
自然と口にでてしまう。
もう、いっその事山崎に今の俺を見て欲しい。
そして失望して欲しい。
ひどく軽蔑して欲しい。
「(な−んて、)」
「(できる程の根性もねぇくせに)」
白い天井をみながらぼんやり見ながら思う。
よく見ると、端の方に染みがあった。薄黒い染み。
俺は携帯を開いて、腕をあげその天井をぱしゃり、と撮った。
今度、山崎に送ってやろう、
そう思った。
呪いをかけられた僕は