沖田はぺちゃんこ

土方はとがってて、

山崎はやらわかい

銀八はふわふわ雲の上



何のことやら掴めない言葉を高杉さんは唱えた。
俺が不審な目を向けた事に彼は気付いたようで、なんのことなのかと問う前に答えを出した。

「イメージ」
「その人達の?」
「おう」

俺はへぇ、と平坦な返事をしてしまったが、高杉さんは特に気にせず、こちらを見向きもせず、
自分の机にシャーペンで黒い煙りのようなものをぐるぐると書いていた。

「俺はやわらかいんですか?」
「そう」
「なんで」
「お前は優しいから」

優しいのイメージは、やわらかい、だから。
と高杉さんは言った。

「じゃあ優しいでいいじゃないですか」

そう言うと高杉さんは忙しなく動いていた手を止めてこちらを見た。

「お前はそう言うほど立派な奴じゃない」

と、なんだかよく分からないが失礼なことを言われた。

人そのもののイメージ。
なるほど。確かに、銀八は掴みきれないし、土方さんは性格がとがっている。

「あいつはなかなか折れねぇ」
「・・・まあ、土方さんが折れた所なんてあまり見たことないですけど」

高杉さんが急に土方さんの事をしゃべるのでどきりとした。
なんだか自分がつい先程まで思っていたことを知っているみたいだった。

高杉さんの言った通り、土方さんは折れない。
練習でも「もう無理」とか「疲れた」とかそんな弱音を聞いたことがない。

それが面倒なんだよ、と高杉さんが呟いたが俺はあえて聞こえぬふりをした。

「あなたは何だと思います?」
「あ?」
「自分のイメージですよ」

あー・・・と言って高杉さんは少し考えると一言、天才かな、 と言った。

「あんまり面白くないですよ」
「当たり前だろ。笑かすつもりで言ったんじゃねぇ」

やっぱりこの人は普通じゃないと思った。
真面目に自分は天才だと言える人はそういないだろう。
感心してるんじゃない。呆れていた。

「なんでそうだと?」
「頭がいい」

頭がいいから誰が何考えてんのか予想できたりできなかったり、まあほとんどできてねぇけど。
と言うので別にそれ普通じゃないですか、と言った。

「でも、この頭があるから分かることはある」

やっぱりこの人は変人だ。言動が全くばらばら。
そりゃあ、人間頭に脳みそが入ってればたいていのことは分かるでしょう。
と俺が言うと、高杉さんは目をぱちくりさせて俺を見た。



じゃあお前にはその脳みそとやらがないのか、


彼は驚いたようにそう言った。

























わからず屋と天才
















inserted by FC2 system