あれはいつの話だったかしら。たぶん昨日の夜だった。
高杉がうちにきた。1人暮らしのクラスの女子の家にはいるなんていい度胸してるじゃない。
といってまぁコイツがこんな突然な事をするのはしょっちゅだったから部屋にいれてやった。
あれは何時ぐらいだったかな。午前2時すぎくらいかも。






蟻を食わないアリクイ



    
一応書いておくけれど、私と高杉はつき合ってない。むしろ高杉なんて嫌いな方だ。
でもいつも一緒にいる。一緒に授業をさぼって屋上でタバコを吸い、お互いにどうでもいい事をしゃべり、それ以外にする事もなかったら、
ねぇねぇ、さっちゃん。やる事ないからさ、ヤろうよ。と高杉から誘ってくる。
私は残念ながら心に決めている人がいるから、あんたとはヤらないよ。あんたとヤるくらいならあたし、まだ全蔵とするわ。
そう言うと、さっちゃんさ、まだ銀八の事好きなの?うわぁ・・まじで?てかさっちゃんってまだ処女?と聞いてきた。
あまりにもくいついてくるので死ねばいいのにと思った。



今日、家に来たときの高杉の顔の右頬は赤むらさき色にはれていた。
うわぁ、グロテスク。と私は思わず口に出していった。高杉は口をニヤニヤさせながら、女にやられたの。と言った。


ねぇねぇ、高杉はなんで浮気するの?
なんで彼女いるのにそうゆう事するの?
愛されてる実感がないとか?

私はいろいろ聞いた。こんなにたくさん質問したのに高杉の答えは一言、これが俺の趣味なんだ。
最低よ。と私は彼にいった。彼は最低だ。最低で、とても可哀想だった。
彼女にさ、言われたんだよ。と言って高杉はしゃべりはじめた。


「もう何回も何回も浮気してるよね。私のこと好きじゃないんでしょ?じゃあなんでつき合ったの?って、涙ボロボロこぼしていうんだよ。完璧な誤解なんだよ。俺は彼女の事嫌いじゃなかったんだよ。胸だって大きかったしなによりもかわいかったからさ。でも自分で決め付けちゃってて。それでもうバイバイ。」


私はこの男がとても可哀想だと思う。だってあんたはつまり寂しいんでしょ。人よりも寂しがり屋なんだよね。だから幼稚園児のガキの真似事みたいなことを高校になってもしてるんでしょ?成長できない奴。と私は内心で舌打ちした。でも彼がそうやって成長できないのは彼の回りの環境のせいなのだから、私は彼を責めたりしない。こうゆう時は優しい言葉でもかけてやるのが女のすることなのだろうか。そうやって考えていると、幻覚かもしれないが、彼の顔が急に寂しげにみえた。でも私は母性本能とかそういったものは持ち合わせていないのでそうゆう時に優しい言葉もかけてやらない。私がそうやって女が持つべきものをもっていないのは私のせいじゃない。私の回りの環境のせいなのだから。




私は高杉のことが嫌いな方だ。でも一緒にいる。授業をサボリって屋上でタバコを吸い。互いにどうでもいい事をしゃべりつづける。気があう、あわないの問題じゃない。似ているのだ。私と高杉は大切な物をもっていない。私の場合だと先生意外はクズだと思っているからか、人(先生以外の)に対して無感情だ。なにも思わない。だから全然ひどい事を言ったつもりではないのに相手の女の子は泣いていた。みんな、猿飛さん!何てこと言うのよ!! って。

すると高杉は、ねぇ、さっちゃん。俺の話きいてる? ああ、ごめん聞いてなかった。なんだっけ? すると高杉はだからぁーと話始めた。


俺がそうやって浮気とかをしちゃうのはね、俺の趣味なんだって。え?さっきもきいた?まぁ、きいとけって。
つまりさ、俺がその今の趣味をやめたらね、マヨネーズが嫌いな土方とか、糖分をいっさいとらない銀八と同じなの。そんなあいつらつまんないだろ?まるであいつらじゃないみたいだろ。それと一緒。


それだけいっきに言うと、缶チューハイを飲んだ。
わたしはなんだかすごく恥ずかしく思った。私と高杉は全然似てなかった。それが寂しい気がした。

私の分のチューハイを彼の顔面にぶっかける。
あと、彼に対してとてもむかついたので背中を思いっきり蹴ってやった。
あら、びっくり。意外に私は感情をもっていた。












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