*なんとなく続いてる話シリーズ設定













明日の話はしないほうがいいな、と俺は感じた。


12月。
その季節で真っ先に思い浮かぶ言葉はクリスマス。

ねぇねぇ高杉、お前クリスマスはなにすんの?

そう聞こうと思ったがやめた。
ちなみにこれは素朴な疑問の一つにすぎない話。

高杉は上等なソファに座り、(もう腰かけたら体が沈むようなやつ)
俺が手土産に買ってきたチューハイを飲んでいる。
一度ビールを奨めたが断られた。苦いのは嫌いらしい。

「おいしいのにね」

俺が缶ビール片手にそう独り言をぼそりと言うと、高杉から空になったチューハイの缶が飛んできた。

「酒すすめてどうすんだ糞教師」

そのチューハイを誰が買ってきたと思ってやがるこの糞ガキが。
高杉は、体をソファにうずめてそのまま横になった。

「飲みすぎ?」

まるで他人事のように声をかけたな、と自分で思った。
高杉は、俺の声に、あーとかうーとかうなった。
なるほど。飲みすぎたのね。
俺もそろそろやめようか、と缶を机の上に置いた。

「おい天パ、」

酔ってるせいかいつもよりかなりのろい口調で高杉が呼んだ。
なに?と周りを片付けながら適当な返事をする。

「くりすます、何すんの?」

俺が聞こうとした事を聞かれた。
高杉は他人に興味なんてないから聞いてきたのは意外だった。

「さあ?同僚と飲みに行くかも」

我ながらなんて寂しいクリスマスだなんて思ってしまった。
こういう時はポジティブに考えなければ。

クリスマスクリスマスってみんな馬鹿だね。
日本が外人の誕生日だか命日だか祝ってどーすんの。

みたいな事を言えるくらいになってみたいもんだ。

高杉は口元を歪ませ、はっと吐き捨てるように笑った。
またお前はそうやって笑う。

そう言うお前はなんかあんのかコノヤロー。

そう思った瞬間、高杉が口を開いた。



「土方と遊んでくる」



思考回路一時停止。
つか、これ何文字熟語?めっちゃ長いな。
まあ、んなことどーでもいいけど。
俺が何も言えず目をぱちぱちさせてるのを見て、高杉はにやりと笑う。

「残念ながら沖田と山崎も一緒。ゴリラはお妙誘うんだと」
「・・・ああ、そう」


なんで安心した俺!
しかしまあ、本当にどうしようかと思った。
なんて言っていいのか、混乱していた。ついさっきまで。

高杉は、銀八はむさいモテない男共とクリスマス過ごすんだなー、と馬鹿にしている。
酔ってるからなのか、遊ぶのが楽しみなのかどっちか知らないが上機嫌だった。
(腹が立つからどっちかなんて知りたくもないが)

まあ、でも学生同士で過ごすのが一番楽しいだろうなぁ、
とまた独り言を言ったらなんだか寂しくなった。
高杉がちらりと俺を見た。

「寂しいなぁ、銀八せんせぇ」

にやにやしながらそう言った高杉に、俺は輪ゴムを指にくくり発射させた。



高杉は、いってぇーと大げさにでかい声を出した。
最初、気を使って聞かなかった俺が馬鹿みたいだ。

明日の話はもうしないし、させてやらん。 と心に誓う。


今のうちに誓っとかなければ高杉はまた上機嫌で明日の話をするのだから。





















明日の話はしない

( 自 慢 話 は 懲 り 懲 り だ ! )
















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