暴露します。
毎週木曜日の放課後、
北舎二階の国語準備室にて。
俺は銀八と性行為をしています。
・・・なんて言ったらみんな(特に猿飛)はどんな顔をするだろう。
そんなことを言うつもりなど、毛ほどもないが考える。
銀八とヤってるのは本当だ。
なんでそうなったのかは、覚えてない。
俺にとってはどうでもよかった。ただここに宣言しよう。
断じて俺から誘ったわけではない。向こうから言い出した。
なんでそこにこだわるのかって?
俺から誘ったなんて、まるであのダメ教師の事が好きみたいだろうが。
ここにもしっかり宣言する。
俺は銀八の事が好きではない。
・・・と、思う。俺のタイプではない。
そもそも、タイプ云々以前に、顔が好みではない。
じゃあなんでヤってんだって、たぶんうまいからだろ。
・・・いや、たぶんじゃない。うまい。認める。
と、こんな誰も知りたいと思わない事をどこで考えてるかというと、例の準備室である。
勿論、行為を終えた後である。
俺は服を着て、窓際に座り、銀八をぼんやり見る。
銀八は椅子に座り、煙草を吸いながら、ちょうど座りながらでも見える窓から景色を見ているようだった。
「なんで、こんなのが始まったんだっけ」
「・・・珍しいな、そんな事聞くなんて。」
銀八は視線を窓の外に向けたままにそう言った。
俺はその返し方に少しイラッとした。せめてこっちを向け。
「で、結局なんで始まったんだっけ?」
「忘れた。」
「なっ・・・」
なんて奴だ。てめぇから言い出したくせに忘れたとは・・・
「どっちが誘ったか覚えてるか?」
「高杉」
・・・即答だった。
その自信はどっから来るんだ。呆れた。どう考えてもお前からだったろ。
煙草をふかしている銀八の顔はいつも通りどこか冷めていて、
なんだか無性に腹がたってきた。
誘っといてなんでか忘れてるし、あげくこのクソ天パ俺から誘っただと・・・?!
ふざけんな。お前はタイプじゃねぇっつ−の。
「なんで急にそんな事聞くんだ?」
銀八の言葉で、はっとなって我に帰った。
「・・・・・・暇潰しだ。ハゲ。」
暇潰し?本当にそうだろうか。
にしてはさっきの俺は随分感傷的だったな、と思い返す。
最初にどうでもいいと言っていたのは誰だったけ。
どうでもいいなら、銀八の言った言葉だって
「へぇ」とか「ふぅん」とか適当な言葉で返しゃあよかったんじゃないか。
膝をたてて体操座りの姿勢をとり、顔を膝で隠して、深いため息をついた。
自然と顔が赤くなるのが自分でも分かった。
「はぁーーーー・・・」
「んだよ若者がでっけぇため息ついて」
変な奴、そういった銀八の声は少し笑っていた。顔も少し微笑んでいるだろう。
お前に言われたくない、と言うつもりだったが、なんだかうまく言えそうもないのでやめた。
「喜べ。」
「あ?」
「坂田銀八に対しての興味が3上がった。」
俯いたまま少し声を高くして言った。
「何、お前?熱でもあんの?」
銀八のひきつった顔が目に浮かぶ。
先生、これは恋ですか?
まったく、俺も熱のせいだと思いたい。