「銀ちゃんに、」
その続きの言葉をチャイナからきいたとたんすぐ思ったこと。
ぶっ殺す。
勝手に動いた俺の体を止めるように、チャイナは隊服の裾を強く掴んだ。
立ち上がったせいで、今のチャイナの顔が見れない。
「(手を、出されただけって訳でもねぇのか)」
大人しく、土手にまた座る。
「で、何されたんです?」
これを聞くぐらいの心構えはできている。
しかし、よりによって何故彼だったのだろう。
正直、困る。
「・・・キス」
「は?」
「・・・だからキスだって言ってんだろ!」
拍子抜け。
少し考えすぎていたのは自分のほうだった。
「舌は?」
「・・・有り」
「なるほど」
少し恥ずかしそうに傘で顔を隠した。
「(旦那がねぇ・・・)」
まいった。
その一言につきる。
「なぁーんかむしゃくしゃすんなぁ」
「生理か」
「誰のせいでそうなったんだよ、タコ娘」
「わたしネ」
そうご、ゴメン。
そうチャイナは言った。
なんでお前が謝るよクソ。
傘の中に俺の頭を入れる。
狭い空間の中で更に顔を近づける。
「キスしていい?」
「・・・・」
「舌いれて」
「・・・キスだけだなら」
晴天。土手で堂々とキスをした。
自分でも驚いた。
泣きたくなった。
自分は、こんな幼い術しか知らなかった。
「そうご?」
ぎゅ、と寄せて抱く。
体温が伝わる。
案外あたたかい。
「心配しないでヨ」
「そうごが好き」
ああ、
本当に まいったよ。
おやすみなさいと彼女は